高機能化・高性能化に物価高が重なり、高価格になっていくスマートフォン。
この流れを受けて、アメリカやヨーロッパを中心に「修理する権利」を主張するユーザーが増えてきています。
修理する権利とは何なのか?なぜ修理する権利が主張されるようになったのか、これからのスマホ市場の行方について考えていきます。
修理する権利とは
パソコンやスマホ、家電などの製品に不具合が起きたり壊れたりした際、製品メーカーを通さずユーザー自身が修理できるようにする権利のことです。
これまで消費者は、スマホや家電が壊れたとき、メーカーの工場へ修理を依頼するか、メーカー側が指定した業者を通してからしか修理ができませんでした。
これは、製品メーカーが修理パーツに純正品のみを使用させるためで、他のパーツ業者が入り込むすき間を与えないための戦略です。
修理代もメーカーの一存で自由に決められるため、壊れたら修理するよりも高くつくケースが頻発していました。
そこで消費者に「壊れたら直すよりも買ったほうが安い」という考えが生まれ、大量消費や廃棄が生まれていたのです。
修理する権利が叫ばれる理由
修理する権利にメーカーが対応するようになった大きな理由は、世界的なSDGsの流れです。
電子廃棄物がもたらす環境負荷が注目されるようになってから、投資家や国がメーカーに対して環境配慮に取り組むよう要望しました。
2020年にはEUが、2021年にはアメリカ連邦取引委員会が、修理する規制や権利に関する法律を施行しています。
これに先駆けて、アメリカの一部の州では自動車修理に関する権利法が制定されています。車が壊れたとき誰でも修理できるようにするために、メーカーは情報や書類を提供しなければならないと義務付けました。
この流れを受けて、AppleやGoogleといった巨大テック企業も「修理する権利」に対応しはじめています。
アメリカやヨーロッパでは、IPhoneなどの製品の純正パーツが公式オンラインストアで売られるようになり、修理マニュアルもダウンロードできるようになりました。
日本でも近い将来、スマホを自分で修理できるようになる可能性は高いです。
「スマホの画面が割れてしまった」「バッテリーが長時間もたなくなった」など、一部を直せば問題なく動作するスマホを自分で修理できる時代が、ようやく訪れたと言えます。
日本でも導入されるのか
修理が簡単にできるようになれば、新機種を発売しても買い替える人が少なくなっていくかもしれません。
修理する権利は、メーカーにとってはビジネスモデルや競争力の見直しを余儀なくされる動きですが、ユーザーにとっては経済的に大きなメリットです。
日本では「技術基準適合証明制度」「電波法違反」の壁があり、現時点では制度化は進んでいませんが、これらの問題が解決すれば導入されるようになるでしょう。
1日でも早く、日本でもスマホを自分で直せる時代が来ると良いですね。